#41.H2エンジン組上げ。腰上編

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750SSマッハIVの心臓を一から組み立てる。第3回(全5回)


今回はH2エンジン腰上の組み上げ作業です。
大まかな流れは「コンロッドにピストンリングの組み込まれたピストンを付ける」→「シリンダーをかぶせる」→「ヘッドで閉じる」になります。部品点数が少なく作業工程も簡素ですが、その分ちょっとした勘違いや誤組みがエンジンのコンディションに影響しますので、丁寧・確実を心がけましょう。


■ピストンリング

まず、組み込む前には初期潤滑を充分に行います。潤滑には2STオイルを使用し、特に摺動面には十分に塗布しエンジン始動時のトラブルを防ぎます。

2サイクルエンジンのピストンリング溝には周り留めの「ノック」が打ち込んであります。合い口をノックの位置に合わせ組み込みます。

またピストンリングの上下は刻印がある方が通常「上」になります。

組み込みはまずはセカンドリングから。H2の場合はセカンドリングの下にエキスパンダが入り、その上にセカンドリングが組み込まれます。

そしてトップリング。

ピストン側面にも初期潤滑を。


■シリンダーベースガスケット

シリンダーベースガスケットに液体ガスケットを塗布します。この時、塗り過ぎには注意して下さい。また、エンジンオイルの通路になる「穴」がガスケットに開いていますので、余分な液体ガスケットがはみ出て「穴」を塞がないように、塗布後塗った液体ガスケットを乾かしてから使用します。

クランクケースに設置。


■ピストンピンベアリング

2STオイルで初期潤滑後、

コンロッド小端部に組み付けます。


■ピストン取り付け

ピストンをコンロッドに組付けます。まずピストンピンクリップを片側のみ取り付けた後、

ピストンの上面、写真の黄色丸にある矢印が進行方向に向くようにコンロッドにセットします。

ピストンピンの穴をニードルベアリングの組み込んであるコンロッド小端部に合わせ、ピストンピンを差し込み、

もう片側のピストンピンクリップをハメます。その際にクリップをピストンの中に落とさないよう注意してください。

以上の作業を3気筒分繰り返します。


■シリンダー

シリンダー内側に2STオイルを塗ります。

ピストンリングを押し縮めながらピストンをシリンダーに挿入します。ピストンリングの合口が丁度シリンダー内スリーブのスカート部に位置するので、リングを押し縮め難いですが、無理矢理シリンダーを上から押さないように注意します。ピストンリングを折ってしまう事の多い作業です。慌てず落ち着いて作業を。

3気筒分組み込んだら完了です。緊張から解放されます。やっとエンジンらしくなってきました。


■シリンダーヘッド

シリンダー上面を脱脂して、ヘッドガスケットを設置。

シリンダーヘッドを載せ、スレッドコンパウンドをネジ溝に軽く塗布したらシリンダーナットを仮締め。対角に二回くらいに分けて規定トルクで締め付け、30分から1時間後くらいに再度規定トルクで締め付け確認。

以上で腰上組上げ完了です。その後の作業中にプラグ穴から異物が入らないようにプラグは仮締めしておきましょう。


次回はエンジンに付帯する各パーツの取り付けです。