#01.キャブをバラす。KH400/350SS編

プロが伝授するキャブレターオーバーホールの極意。


キャブレターオーバーホールで一番重要なのは、空気と燃料の通り道が正常に通じているかです。見た目がキレイでも、ガソリンと空気がしっかり入り込む通路が詰まっていればエンジンにちゃんとした、気化した混合気を送り込むことはできません。今回はその部分に重点をおいてキャブレターオーバーホールを解説します。

事前に用意する道具など
◎スライディングハンマー
◎配線ドライバー(ー)
◎#2ドライバー(+とー)
◎ピック
◎ニードルジェットドライバー
◎ジェットリーマー
◎スパナ(10mm)
◎エアガン
◎ハンディリューター
◎オイルストーン

分解作業

分解前のキャブレター。今回のキャブレターは比較的程度の良い状態でした。

本体からスロットルバルブを外し、スロットルアッセンブリーを分解します。

フロートチャンバーを外す。ビスは対角に徐々に緩めて下さい。

フロートピンを抜き、フロートを外す。

フロートバルブを外す。ニードルとフロートバルブ本体は対を崩さないように保管。

メインジェットを緩める。

2〜3回転緩めたところで、ドライバーの柄等で軽く叩きニードルジェットを外す準備をする。

メインジェットとワッシャーを外し、ニードルジェットを叩いて押し出す。

スロージェットを外す。

アイドルアジャストスクリューを外す。

エアスクリューを外す。

リューター等でヒートパイプの内側に溝を掘る。

溝にスライディングハンマーをセットし、ヒートパイプを抜き取る。工具がない場合はヒートパイプを壊して外す。

1気筒分のキャブ分解状態です。

洗浄

エアクリーナー側から撮影した画像。幾つか穴が空いていますが、この穴の洗浄が重要なポイントです。
洗浄にはワコーズの「 エンジンコンディショナー」を使用しています。匂いはきついですが、洗浄力は抜群です。

メインエアポートから吹き付ける。

ニードルジェット取り付け箇所から、吹き出てくるのを確認する。

スローエアポートから吹き付ける。

エアースクリュー取り付け穴から、吹き出てくるのを確認する。

エアースクリュー取り付け穴を、指で塞ぎスローエアポートから吹き付ける。

スロージェット取り付け穴・パイロットポート・スローポートから吹き出てくるのを確認する。

パイロットポート・スローポートは画像のように非常に小さいので、詰まりやすいです。必ず目視で穴が通っているか確認して下さい。

なかなか取れないジェットのつまりは、ジェットリーマーなどで取り除きます。

燃料ホースの取り付けパイプから吹付け、フロートバルブ取り付け穴から吹き出るのを確認する。

フロートチャンバーの下側の小さな穴から吹付け、上側から吹き出るのを確認します。この穴が詰まっているとスターターが効きません。

フロートチャンバーガスケットはキレイに剥がします。

細かい部品はまとめてエンジンコンディショナーに漬け込みます。この時ゴム部品は入れないでください。

ボディは真鍮のワイヤーブラシ等で汚れを落として下さい。

最後にきれいな洗浄液で、エンジンコンディショナーに漬けた細かい部品もキレイに洗い流してください。

エアブローをします。

もちろん各ポートも一つ一つエアブロー。

各ポートの通り具合も、目視で必ず確認して下さい。

以上で、洗浄は完了です。

構成部品のチェック

チェックの基本は目視!穴が通っているかだけではなく、必ずゴミなどが付着していないか目で確認しましょう。

ジェットニードルのチェック。画像の様な「傷」「スレ」などがあった場合は交換しましょう。

フロートのチェック。フロート内部にガソリンが溜まっている場合、また画像の様な腐食がある場合は交換して下さい。

フロートバルブのチェック。先端付近にヨコ溝ができている場合は交換して下さい。

ノック部分が抜けかかっている場合は打ち込んでおきましょう。画像は正常な状態のノックです。

ニードルジェットのチェック。ジェットニードルを交換した場合は、必ずニードルジェットも交換しましょう。

スロージェット・メインジェットは必ず目視でチェック。つまりがある場合は噴射力の強いキャブレタークリーナーで再度汚れを落とす。

組み立て

分解した逆の手順で組み立てていきます。

今回のオーバーホールで交換する新品部品。

打ち込んだ状態。

フロートのリップ部で油面を調整します。

メインジェット・スロージェットの番丁変更の他に、ジェットニードルのクリップ位置でも、ガソリンの流量を変更できます。ノーマルは上から3段目です。

フロートチャンバー内の組み込み完了。

完成

フロートチャンバーを閉じて完成です。エンジン装着時の調整はまたの機会に。お楽しみに。

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