クランクベアリングの役目とは。
ピストン・コンロッド及びクランクシャフト等はエンジン内部では最も酷使される部品です。燃焼室内の爆発を受け止めること、ピストンを規則正しく上下運動させること、ピストンの上下運動がクランクシャフトによって回転運動に変えられその回転運動をスムーズにミッションに伝えることがクランクベアリングの役目です。当たり前な話ですがアイドリング時1,500rpmなら1秒間に25回転。6,000rpmなら1秒間に100回転の猛スピードで回転してるクランクシャフトを支えているのがクランクベアリングです。
アウターレースが固定されずに回っている...クリープ現象発生。
そのクランクベアリングは大きく分けると三つの部品から成り立っています。
「インナーレース」「アウターレース」その間に入る「ボール」です。
インナーレースはクランクシャフトに圧入されていますのでクランクシャフトと同回転で回っています。アウターレースは上下クランクケースに挟まれていますので固定です。そしてその間のボールが自転をしながらインナーレースの周りを回転しています。...のはずなのですが、そこは半世紀近く使用・放置されてきたKH。ケースの経年変化なのか生産されていた当時の技術レベルの限界なのか、アウターレースが固定されずに動き出す「クリープ現象」が発生しているケースが非常に多いです。
特にエンジンオーバーホールを多く手掛けるオートバイ店・修理屋さんであればクランクケースを分解したとき「これって回っちゃっていいの?」と感じたはずです。
私もずっと感じていました。
液体ガスケットを塗ってみたり、接着剤を塗ってみたり、ネジロック剤を塗ってみたり...しかし結局気休めにしかなりませんでした。
画像はクリープ現象の出ていたKH400のクランクベアリングです。「筋」が入っています。
ケース側にも同じ様に筋が入っていてます。
弊社がお世話になってる内燃機屋さんからは、「クリープ現象対策ベアリングが存在する」と話では聞いてはいましたが、実際の製品を発注したことも見たこともないとの事でした。
が!しかし、今回ついに一念発起して頂き取り寄せて頂きました!!
クリープ現象対策ベアリング入手!!
このクリープ現象対策ベアリング「ECベアリング」及び「ACベアリング」おそらく今回の入荷と次回2年後くらいに入荷する限りかと思います。(特注ベアリングの最低生産ロット数って半端ないんです。)
リビルドを終えた組み込み後のKHクランクシャフト。
こちらは組み込み済みのH1のクランクシャフト。EC対策クランクベアリングが2個・AC対策クランクベアリングが1個・溝付きクランクベアリングを1個使用しています。
EC対策クランクベアリング。
AC対策クランクベアリング。
始まってしまった「クリープ現象」は「・・・剤」では止められません。
そして確実にクランクケースを痛めます。
「ECベアリング」「ACベアリング」で絶対止まるとは言い切れませんが改善の期待は十分にできます。
2020年一押し商品です。
もちろん組み込み(クランクシャフトリビルド)も行っています。
クリープ現象対策ベアリングを使用した方が良いかどうかの判断が難しい場合にはご相談ください。